|
■『戦旗』1653号(3月5日)4-5面 改憲―戦争国家に突き進む岸田政権を 全人民的政治闘争で打倒しよう 高橋宏幸 第二一三回通常国会が一月二六日開会した。会期は六月二三日までの一五〇日間だ。 これまで通例であった開会初日の施政方針演説が、自民党派閥の組織的裏金づくり事件が発覚したことで、衆参予算委員会の集中審議が先行することになった。 今通常国会の最大の焦点は、自民党派閥所属国会議員の組織的裏金づくりについての真相解明や再発防止に向けた政治改革論議だとマスコミ各社は報じている。 自民党内最大派閥である安倍派(清和政策研究会)所属議員(九九名)をはじめとした、諸派閥の組織的裏金づくりという「政治とカネ」の腐敗構造に労働者人民の怒りは沸き上がっている。森友・加計疑獄、「桜を見る会」などの政治の私物化、「お友達」への利益差配によって政治腐敗に拍車をかけ、数々の反動立法を議員の「数の力」によって強行してきた「アベ政治」が、岸田に代わっても何ら変わることなく継続していることが明らかになった。人民の怒りは至極当然であり、これらの政治腐敗ひとつをとっても、現自公連立政権は即刻打倒されるべきである。 二月六日には、文科相・盛山正仁が二一年の衆院選時に、反共犯罪集団=統一教会と政策協定を交わし、選挙支援を受けていたことが発覚した。宗教法人を所管する文科省のトップが、統一教会から選挙支援を受けていたのである。盛山は野党の追及に対し、「記憶にない」を連発した。野党提出の不信任決議案は否決されたが、盛山辞任を求める声は多数であり、岸田政権を一層窮地に追い詰めている。 われわれ革命的左翼は、日帝―岸田政権が掲げる「政治改革」や「経済再生」を隠れ蓑にしつつ、改憲と大軍拡=戦争国家化へと突進する右翼反動政権としての岸田政権の本質を暴き出していく。今こそ反動攻撃を労働者階級人民の大衆的反撃によって粉砕する闘いを作り上げていかなければならない。 ●1 腐敗を極める自民党政治を許すな 昨年一二月、自民党安倍派、二階派、岸田派の国会議員が、政治資金パーティーで得た収入を政治資金収支報告書への不記載=裏金化していたことが発覚した。安倍派は直近五年間で五億円もの多額の裏金を所属議員に還流していたという。岸田政権と自民党の支持率は急落しつづけた。慌てた岸田は、官房長官・松野博一、経産相・西村康稔、党政調会長・萩生田光一、党国対委員長・高木毅、党参院幹事長・世耕弘成の安倍派「五人衆」を更迭・一掃し、事実上の内閣改造・党役員人事に踏み込んで事態の収拾を図った。 一二月一九日、東京地検特捜部が安倍派と二階派の事務所を政治資金規正法違反容疑(不記載・虚偽記載)で家宅捜索した。一月九日には、安倍派衆院議員・池田佳隆(後に自民党除名)とその秘書が逮捕された。だが、安倍派「五人衆」など幹部議員は、「共謀に問えない」として立件を見送りされて逃げ切り、秘書など会計責任者が略式・在宅起訴されたのみで捜査は事実上終了した。自民党の伝統的手法である「秘書」への罪のなすりつけという、「トカゲのしっぽ切り」がまたも使われた。更迭された安倍派「五人衆」の釈明は、いずれも「裏金は事務所スタッフが管理」「キックバック(還流)の詳細は知らない」「裏金の私的支出はない」の三点で共通している。派閥による組織的犯罪行為を隠蔽するために意思統一していることは明白だ。 そもそも、還流した金を、会計責任者や秘書などが自らの判断で報告書に記載しないことなどありえないことだ。ましてや、複数の事務所でそれが同時に起こったなどという、まさに噴飯物としか言いようのない「釈明」など、いったい誰が信じることができるだろうか。このような輩が好き勝手に政治を私物化し、労働者人民から搾り取った税金を自らの所有物のように使って、改憲と大軍拡、戦争国家化を強引に進めているのである。労働者人民はこんなでたらめ極まる政治を絶対に許しはしない。 労働者人民の政治不信と怒りは、岸田政権の支持率が二〇一二年の政権復帰以降で最低記録となる16・9%(不支持率60・4% 二月一五日時事通信)にまで落ち込んでいることにはっきりと表れている。岸田政権打倒の好機が到来しているのだ。 ●2 岸田「政治改革」は全くの欺瞞だ 岸田は、一月三〇日に岸田施政方針演説を行った。冒頭には能登半島地震による被災者への「お見舞い」を述べ、「被災者の帰還と能登を含めた被災地の再生まで責任を持って取り組む」と語った。だが、被災地では、岸田政権や石川県知事馳浩の初動対応の遅さ、杜撰さに対して怒りの声が渦巻いている。これら被災地の怒りに岸田は何一つ応えてはいない。 焦点である政治改革については、肝心の実態解明や再発防止についての具体策がなく、ポーズだけに過ぎない。 岸田は、「自民党の政策集団の政治資金の問題で、国民から疑念の目が注がれる事態を招いたことは、自民党総裁として極めて遺憾であり、心からおわび申し上げます」と謝罪の言葉を述べたが、岸田が本部長を務める「党政治刷新本部」で合意した「中間とりまとめ」においては、「政治資金の透明性やコンプライアンスの徹底など運用面での改革を先行して進めつつ、制度面での改革については、各党各会派との真摯な協議を経て、政治資金規正法改正など法整備を実施していく」と述べるにとどまり、法整備の具体的内容には言及しなかった。組織的裏金を一体何に使ったのかなど、事件の実態解明については一切触れていないことからも、岸田の「政治改革」は、その場しのぎの「やっている感」の演出以上ではないことは明らかだ。 政治資金規正法違反で立件された安倍派・二階派・岸田派の三派閥は解散を決定したが、これは単に「政策集団」に名前を言いかえただけのことにすぎない。さらに麻生派は派閥存続を表明しており、全派閥が解消されたわけでもない。「中間とりまとめ」の中にも派閥解消の文言は盛り込まれなかった。 「刷新本部」の構成メンバー三八名には、裏金作りの中心である最大派閥の安倍派一〇名が含まれている。そのうち九名までが「裏金疑惑」議員なのだ。これが「お金と人事との決別」と息巻いた岸田の「政治刷新」の実態だ。このような茶番劇に、労働者人民の政治不信、自民党に対する怒りが収まるはずがない。岸田および自民党は、労働者人民がこの「構造的裏金作り」の話題を忘れ去るのをただ待っているのである。 ●3 「経済再生」「公的賃上げ」掲げ労働組合解体狙う岸田 岸田は施政方針演説で「『経済の再生』が岸田政権の最大の使命……経済、とりわけ、賃上げが今まさに喫緊の課題として求められています」と述べ、昨年一〇月の臨時国会所信表明演説につづき、経済再生=賃上げを強調することで、政権支持率回復を狙っている。今国会の施政方針演説も、「経済」に関する言及が全体の四分の一を占め最も分量が多い。 岸田は、「昨年は、三〇年ぶりの高い賃上げ水準となり、最低賃金も過去最大の上げ幅となりました。……政府による『公的賃上げ』も行います」と述べ、ごく一部の労働者階級上層の賃金上昇を取り上げ、あたかも自らの成果であるかのように自画自賛している。 だが、コロナ禍やウクライナ戦争の影響によって、圧倒的多数の中小零細や非正規労働者の賃金アップは物価高騰に全く追いついていない。実質賃金は二〇カ月連続で減少しつづけ、一九九〇年以降で最低の水準を更新しており、困窮化はさらに深刻化している。大多数の労働者人民にとって、岸田の言う「変化の兆し」などまったくの絵空事でしかない。 そもそも岸田の語った「三〇年ぶりの高い賃上げ水準」とは、新自由主義グローバリゼーションが世界を席巻した期間とぴったり重なりあっている。それは別の言葉では「失われた三〇年」とも表現されている。この一時代について、岸田自身が昨年一〇月の臨時国会所信表明演説で、「低物価・低賃金・低成長のコストカット型経済」だったと「正しく」総括している。 この期間を通じ、民営化と規制緩和を主な特徴とする新自由主義政策によって、労働者人民の低賃金化と非正規化、諸権利の剥奪が一気に推し進められた。支配的イデオロギーとしての「自己責任論」が席巻し、人民は労働者としての階級性と団結を解体され、個々人へと分断された。抵抗する労働者階級人民に対しては、警察権力による弾圧が振り下ろされた。これらを強行してきたのは、日帝ブルジョアジーと、その政治的代弁者である自民党の歴代政権に他ならない。岸田もまた反労働者的政策を強行してきた政治勢力の中枢を担ってきた張本人だ。このような連中に労働者階級人民の未来をゆだねることなど絶対にできない。今こそ労働者階級人民の怒りを集中して、岸田自公政権を打倒していかなければならない。 闘う労働組合は、「誰もが安心して働ける職場・暮らせる社会の実現」を掲げて、物価上昇を上回る大幅な賃金引き上げを目指して闘ってきている。われわれは、こうした闘いを支持・支援し、24春闘を共に闘いぬいていかなければならない。 とりわけ、最低賃金大幅アップをかちとることが焦眉の課題だ。昨秋の最低賃金改定によって、全国加重平均が史上はじめて時給一〇〇〇円を超えたが、これは、あくまで加重平均であり、実際に時給一〇〇〇円を上回ったのは八都府県にしか過ぎない。しかも、フルタイムで働いても年収では二〇〇万円程度にしかならず、物価高騰にまったく追いつかない水準なのだ。 闘う労働組合は、ナショナルセンターの違いを越えて、時給「一五〇〇円」への大幅アップを要求し闘いを推進している。この賃金水準に達しなければ、日本の労働者階級人民の実質賃金低下に歯止めはかからない。 最低賃金引き上げ要求の闘いの広がりによって、岸田も昨年八月に、はじめて「最低賃金一五〇〇円」に言及せざるを得なくなったが、その実現時期は「二〇三〇年代の半ばまでの目標とする」というものである。労働者人民にはそんな悠長なことを言っている余裕などないのだ。直ちに一五〇〇円以上を要求する闘いを、地域・職場生産点・街頭などで強化していこう。 岸田は同演説において、「持続的な賃上げを可能とするための『人への投資』を進めます。三位一体の労働市場改革を早期かつ着実に進め、多様な働き方を促すためのセーフティーネットの拡充、教育訓練やリ・スキリング支援の強化を図るための法整備も進めていきます」と述べている。 岸田政権は昨年六月に、「経済財政運営と改革の基本方針」を閣議決定し、「三位一体の労働市場改革」による構造的賃上げの実現を目指すとした。その骨子は、①リ・スキリングによる能力向上支援、②個々の企業の実態に応じた職務給の導入、③成長分野への労働移動の円滑化である。これらは、解雇の金銭解決や労働時間法制の規制緩和・裁量労働制の拡大、雇用によらない働き方への誘導といった、労働法制の規制緩和・改悪を狙ったものだ。昨年一〇月二〇日に厚労省が公表した「新しい時代の働き方に関する研究会」の報告書においても、労働基準法について、「多様性の重視に立って、時代に合わせた見直しが必要」だとして改悪がもくろまれている。労働法制改悪を阻止しよう。 岸田版「官製春闘・公的賃上げ」を隠れ蓑にした労働組合解体攻撃を粉砕し、24春闘を闘い抜こう。今すぐ「最低賃金一五〇〇円」を要求して闘おう。 ●4 GXを口実に原発再稼働強行狙う岸田政権 岸田は演説において、「原子力発電についても、脱炭素と安定供給に向けた有効な手段の一つとして、安全最優先で、引き続き活用を進めてまいります」と語り、改めて原発再稼働強行の姿勢を明確にしている。 岸田政権は昨年五月、「GX(グリーントランスフォーメーション)推進法」および「電気事業法等の一部改正」を強行成立させた。「脱炭素」を口実にして、老朽原発再稼働や新型原発の新増設など原発政策の大転換に踏み込んだ。昨年八月には、福島第一原発事故で発生した放射能汚染水の海洋放出を強行した。 能登震災直後にマスコミは「志賀原発に被害はない」と報道していたが、実際には大量の油漏れや地震の揺れによる核燃料プールからの放射能汚染水漏れ等の重大事故が発生していたのだ。志賀原発は活断層がいくつも走る軟弱な地盤の上に立地しており、原発が稼働していたならば、大事故が発生していた可能性すらあったのだ。 岸田政権は、能登半島地震を目のあたりにしても原発再稼働強行の姿勢をまったく崩していない。岸田は今後、東海第二、女川、柏崎刈羽、島根、志賀、浜岡の計七基の原発再稼働を明言している。さらには、「ALPS処理水放出を受けた中国等による日本産水産物の輸入停止に対し、即時撤廃を求めるとともに、影響を受ける水産物の国内の需要拡大や新たな輸出先の開拓、国内での加工体制の強化等を着実に進め、我が国の水産事業者を守ります」などと述べ、福島第一原発事故による汚染水海洋放出を開き直り、中国だけが汚染水放出に反対しているかのごとき排外主義的デマ宣伝を繰り返している。 海洋放出された汚染水は、大地震による津波で破壊された原子炉から溶け落ちた核燃料棒(デブリ)と接触したものであり、多数の放射性核種が含まれている。汚染水を止めるにはデブリを取り出すしかないが、その方法や取り出し方など、具体的計画やメドはまったく立っていない。その期間中、放射能汚染水は発生し続けることになり、汚染水を放出しつづければ、それだけ海洋汚染が深刻化していくことになるのだ。こんな暴挙を許してはならない。 福島の被災者を切り捨て、住民の安全を無視し、原発再稼働へと突進する日帝―岸田政権を打倒しよう。 ●5 破綻必至の大阪・関西万博開催強行を許すな 岸田は演説において、「新型コロナや大規模な自然災害を乗り越え、いのちへの向き合い方、社会の在り方を問い直す機会となる大阪・関西万博の成功のため、オール・ジャパンで進めていきます」と述べた。労働者人民の圧倒的な中止を求める声を無視して、大阪・関西万博を強行しようとしているのだ。 万博の会場建設費は、一二五〇億円から二三五〇億円へと、当初見積もりから倍に膨れ上がっている。万博のために夢洲に建設されたインフラは、IRカジノ施設建設へとそのまま引き継がれることになる。本当の狙いはカジノ施設建設であり、万博を口実に税金を利用した総額約九兆七〇〇〇億円ものインフラ整備がなされようとしていることは明らかだ。 万博は、東京オリンピック・パラリンピックが利権と汚職の温床になったのと同様に、巨額の税金をつぎ込んでゼネコンや関連企業を設けさせるためだけのメガイベントだ。 岸田政権は今すぐ大阪・関西万博を中止を宣言しろ。万博で使われる税金と自民党派閥のため込んだ裏金全額を能登半島地震の震災復興に充当しろ。 ●6 改憲―戦争国家化に突き進む岸田政権打倒 中国封じ込め狙い日米軍事同盟強化を明言 日帝―岸田政権は、「経済再生」「政治改革」を前面に押し出して、政権復帰後最低の支持率の回復を狙っている。だが、その一方では、一昨年一二月に閣議決定のみによって強行した「防衛力の抜本的強化」の下で、先制攻撃戦略への転換、軍事費倍増など戦争国家化の道に突進している。 施政方針演説において岸田は、「我が国が戦後最も厳しい安全保障環境のただ中にあることを踏まえ、防衛力の抜本的強化を着実に具体化」と、これまで同様の情勢認識を示した上で、「日米安全保障体制を基軸とする日米同盟は、グローバルな安定と繁栄の『公共財』として機能しており、同盟の抑止力・対処力を一層強化します」といいなして、日米安保軍事同盟のさらなる強化を宣言したのだ。 その具体化のために、岸田は演説において、「四月前半に予定している国賓待遇での訪米などの機会を通じ、我が国外交の基軸である日米関係を更に拡大・深化させます。日米同盟を一層強化して我が国の安全保障を万全なものとし、地域の平和と安定に貢献します」と語り、中国に対する軍事包囲網形成のための日米軍事一体化をこれまで以上に進めることを宣言した。また、「日米豪印などを活用しつつ、関係各国との連携を強化し、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の協力における協力を一層進めます」とも述べた。クアッド(日米豪印戦略対話)などを通した、多国間安保(アジア太平洋版NATO)形成=対朝鮮、対中国、対ロシア包囲網形成に向けた動きを推し進めようとしているのだ。 これら岸田政権の動きの根底には、米帝の核兵器を頂点とする圧倒的軍事力を背景とした「抑止力」論がある。外交交渉などを通した日本政府独自の外交姿勢など、もはやそのポーズすら見せない。 武器輸出国家への転換を閣議決定で強行 岸田政権は、昨年一二月二二日の臨時閣議と国家安全保障会議(NSC)において、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」(以下「三原則」)の運用指針改悪を決定した。 今回の改悪によって、殺傷能力のある武器や弾薬の完成品の輸出を可能としたのだ。岸田政権はさっそく地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」のアメリカへの輸出を決定した。これは、ウクライナやイスラエルへの武器支援によって不足する武器を補充するものであり、事実上の武器供与に他ならない。 岸田は、「官民一体となって防衛装備の海外移転を進める」と語り、日帝も武器輸出の拡大によって、帝国主義による世界支配のための軍事力の強化に本格的に踏み込もうとしている。 このような重大な問題を、国会審議にかけることなく、閣議決定のみで決定するやり方は、まさに安倍独裁政治の手法そのものだ。絶対に許すことはできない。 経済安保版秘密保護法制定を許すな 岸田はさらに、「防衛力の強化や外交・安全保障とともに経済安全保障の抜本的強化が急務です。セキュリティ・クリアランス(適格性評価)、サイバー・セキュリティー強化に取り組みます」と語り、今国会での関連法案上程を狙っている。 セキュリティ・クリアランス(以下、「SC」)制度とは、経済安保領域における「特定秘密保護」のことだ。「経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議」が提出した「最終とりまとめ」では、「政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報(以下「CI」(Classified Information))にアクセスする必要がある者(政府職員及び必要に応じ民間事業者等の従業者)に対して、政府による調査を実施し、当該者の信頼性を確認した上でアクセスを認める制度である」としている。 経済安保領域において、国家機密とされる領域に関与する民間人、政府が保有する機微情報をもとに共同研究・開発を行う官僚や民間企業の研究者へと調査対象が拡大することは必至となる。具体的にはAIや半導体技術に関する情報を想定しており、サイバー攻撃の脅威や対策に関する情報も対象となり、その対象は飛躍的に拡大してくことになることは間違いない。 対象を調査する専門機関が政府の下に設置され、①過去の犯罪・懲戒歴、②情報の取り扱いに関する経歴、③薬物の乱用歴、④精神疾患の有無、⑤飲酒の節度、⑥借金を含む経済状況などを調べるとしているが、実際には、家族・親族を含めた思想・信条領域にまで身辺調査が行われていくことは間違いない。これは「日本版CIA」の創設だといっても過言ではないだろう。実際にも「有識者会議」構成員には、公安警察出身であり、安倍政権と菅政権の下で国家安全保障局長と内閣特別顧問を務めた、「官邸のアイヒマン」こと北村滋が含まれているのだ。さらに、機密漏洩には罰則規定が設けられており、秘密保護法と同程度の「懲役一〇年以下」の重罰が想定されている。 すでに公安警察は、このSC法の先取り的な冤罪事件を引き起こしている。噴霧乾燥機を製造する大川原化工機の社長ら三人を、「軍事転用の恐れがある機械を不正輸出した」として逮捕・起訴し、一年近くの長期にわたり勾留した事件だ。うち一人は勾留中に病が発覚し、治療のための保釈請求が八回も却下され、無罪を訴えながら無念のうちに亡くなった。後に突然起訴は取り消されたが、国家賠償を求めた訴訟で、警視庁公安部の捜査員が証人尋問で「事件は捏造」と証言している。東京地裁は国と東京都に計約一億六〇〇〇万円の支払いを命じたが、国と都はこの判決を不服として東京高裁に控訴。同社側も控訴している。 SC法制定によって、このような見込み捜査と事件捏造、でっち上げ弾圧が横行する可能性は極めて高い。法案成立を阻止していかなければならない。 「代執行」―工事強行弾劾、沖縄の軍事要塞化阻止 岸田は、「普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます」と演説で述べ、辺野古新基地建設をはじめ、琉球弧の軍事要塞化を推し進めている。 一二月二八日、国交相斎藤は、沖縄人民の民意を一切無視し、「県」に代わって設計変更を承認する「代執行」を強行した。地方自治体の事務を国が「代執行」するのは史上初の暴挙である。沖縄防衛局は大浦湾側の工区で一月一〇日より、工事を強行した。沖縄人民は「令和の琉球処分だ」としてキャンプ・シュワブゲート前に結集して抗議の声を上げている。琉球弧全体の軍事要塞化、戦場化を推し進める岸田政権を許すな。 沖縄―「本土」を貫く闘いで新基地建設を阻止し、岸田の大軍拡路線を粉砕していこうではないか。 「総裁任期中の改憲」明言を弾劾する 岸田は演説の最後に、「自民党総裁として申し上げれば、自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりはなく、議論を前進させるべく、最大限努力したいと考えています。今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります」と語り、改憲への意欲を明らかにした。緊急事態条項創設による私権制限などを含む、改憲策動を絶対に阻止していかなければならない。 腐敗を極める日帝―岸田政権を、全人民的政治闘争の高揚で打倒しよう。 共に闘おう。 |
Copyright (C) 2006, Japan Communist League, All Rights Reserved.